本セミナーの目的は、作品と人、上映の場の関係性について、映画祭の現場性から考えることである。コロナ禍以降、映像視聴のオンライン化への移行が加速して久しい。とはいえ、最近の週末の映画館は大勢の来場者でにぎわっている。日本映画製作者連盟によれば、2019年まで右肩上がりだった映画館来場者数は、コロナ禍により激減したものの、人流の制限緩和が段階的に実施された2022年度においては、前年比130%以上の1億5,252万5,000人であった。さらに今年は、厚生労働省によれば、感染症法上のCOVID-19の位置付けが5類感染症に移行し行動制限が解除されて、感染防止対応が一般的な風邪のレベルになった。このような状況下で人々は再び街へ戻ってきている。一方、東京の岩波ホールを始めとする、各地域の独立系映画館の閉館が2021年頃から相次いでいる。さらに、COVID-19以前から、シネマコンプレックスのスクリーン数が増加し、作品配給の状況に変化がみられるようになった現在、かつては映画祭や独立系映画館を中心に流通してきた映画作品が、シネマコンプレックスやオンラインのサブスクリプション配信で鑑賞が可能な状況に移行した。このような複雑な状況の中、対面で映画鑑賞する意義や意味は何だろうか。本セミナーは、そうした映像を巡る現場性を再考する上で、一時的で非日常な時間と場所として現れる映画祭に注目していく。映画祭が開かれる際には、キーパーソンと作品、資金、場所、スタッフ、機材などのメディア環境、特に大きなものであれば公的機関の協力など、様々な要素が欠かせないといえる。その中でも今回は特に、作品と人と映画祭から考えていきたい。そのために今回は、映画祭企画者、映画制作者、映画研究者など異なる立場の登壇者の話を聴き、ディスカッションパネルを開くことでその現場性の意義と課題点、今後の可能性を考える。
登壇者
山下宏洋 イメージフォーラム・フェスティバル ディレクター
藤田修平 東京情報大学総合情報学部准教授
新井佑季 立命館大学大学院文学研究科文化動態学専修博士課程前期課程
日時 2023年11月10日(金)開場14:30 開始15:00 終了18:00(予定)
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予約不要|定員60名|日本語
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